学びの灯をともし、心に刻む絆:地域の子どもたちと共に歩んだ学習支援の記憶
ボランティア参加のきっかけ:地域社会への貢献と新たな学びを求めて
私が地域の学習支援ボランティアに参加することを決めたのは、数年前に退職し、これまでの経験を社会のために役立てたいという思いが芽生えたことがきっかけでした。かつて教育分野で培った知識や経験を、特に学習に困難を抱える子どもたちのために生かせないかと考えていた折、地元の公民館で学習支援ボランティアの募集を目にしました。子どもたちの成長を間近で支え、地域との新たな繋がりを築くことへの期待に胸を膨らませ、私はその活動に一歩を踏み出すことを決意いたしました。
個々の成長に寄り添う喜び:学習支援の現場で感じたこと
活動が始まって間もなく、私は小学4年生の「ハルキさん」(仮名)と出会いました。彼は算数に苦手意識を持ち、計算問題を解くことに抵抗を感じている様子でした。最初のうちは、どのように接すれば良いのか戸惑いを感じることもありましたが、彼のペースに合わせ、小さな成功体験を積み重ねていくことを意識して支援を続けました。
ある日のこと、私はハルキさんに、彼が特に苦手とする分数計算について、身近なものに例えながら粘り強く説明を続けました。最初は理解に苦しんでいた彼が、ふと「あ、そういうことか!」と声を上げた瞬間、彼の瞳が輝き、顔には達成感に満ちた笑顔が広がったのです。それまで固く閉ざされていた彼の心に、学びへの喜びの光が灯ったように感じられました。その時の彼の表情は、今でも私の心に深く刻まれています。この小さな成功が、彼に自信を与え、それ以降、彼は積極的に問題に取り組むようになりました。彼の成長を間近で感じることができたのは、私にとって何物にも代えがたい喜びでした。
また、別の子どもたちとの関わりでは、学習内容だけでなく、彼らの抱える日々の悩みや学校での出来事に耳を傾ける機会も多くありました。ただ答えを教えるのではなく、彼ら自身が考え、答えにたどり着くプロセスを共に歩むことで、彼らの心の成長を支えることができると感じています。
達成感と人との繋がりが生み出す心の豊かさ
この学習支援ボランティアを通じて得られた「よかった」と感じる瞬間は、子どもたちの学力向上だけでなく、彼らの内面に自信が芽生え、前向きな姿勢へと変化していく様子を目の当たりにできることです。ハルキさんのように、苦手意識を克服し、自ら学ぶ楽しさを見出す子どもたちの姿は、私の活動への大きな原動力となっています。彼らからの「先生、ありがとう。少しわかったよ」という純粋な感謝の言葉は、私の心を温かく満たしてくれます。
また、この活動は、私と子どもたちとの間に温かい信頼関係を築くだけでなく、他のボランティア仲間や地域のコーディネーターの方々との連携も深める機会となりました。子どもたちの個性や状況について情報交換を行い、より良い支援方法を共に模索する中で、互いに支え合うことの大切さを実感しています。保護者の方々からいただく感謝の言葉もまた、活動の意義を深く感じさせてくれるものです。このような人との繋がりが、私の生活に新たな充実感と心の豊かさをもたらしてくれました。
学びの環を広げ、未来へと繋ぐ
このボランティア活動を通して、私は「小さな一歩が大きな変化を生む」ということを改めて実感いたしました。一人ひとりの子どもたちに寄り添い、彼らの可能性を信じて支え続けることの重要性を深く理解しています。この経験は、私自身の人生においても新たな学びと成長の機会を与えてくれました。
今後も、この活動を通じて得た経験を活かし、地域の子どもたちの未来に貢献していきたいと考えております。そして、より多くの方がボランティア活動に参加し、このような心温まる繋がりや達成感を体験できることを心より願っております。ボランティア活動は、与えるだけでなく、それ以上の価値を受け取ることができる、豊かな経験の場であると確信しています。